2016年09月16日

追想1 ─ 社長との別れ


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毎年元旦に主人(社長)は初日を拝した後、その年の思い、願いを言葉にして年賀状に書いておりました。平成28年の元旦の言葉は「始生」としたためてありましたが一通もお出ししないまま辞世の言葉となりました。始生の意は辞書にもなく、今生を終わる(死)ことは、次なる生への始まりなのだと悟っていたのではないでしょうか。
二カ月余り日々衰えてゆく身体を気力で精一杯生き抜き、四月五日満開の桜の中、九十年の生涯を終えました。穏やかな立派な最期でした。

しばらくは遺品の片付けなどは何も手につかずただ目の前の仕事に明け暮れる日々でしたが、初盆も過ぎてようやく整理をはじめた頃、主人が遺したたくさんのメモの中から一枚の書き物が出てきました。その内容は、最高の親に恵まれた、最高の師に恵まれた、最高の友に恵まれた…最高の人生に恵まれたといくつも繰り返され…そして最後にありがとうございましたと結ばれていました。感謝の気持ちで生きることをとても大切にしていた夫らしいメッセージだと胸が熱くなりました。


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主人は昭和元年一月に生を受け、子供の頃より両親は文武両道(日本軍人として)で厳しく教育していました。早くに孫子の兵法にも親しみ、憧れの海軍兵学校に入校時にも検閲を受けて持参したほどです。その「兵法孫子」─北村佳逸著(昭和17年版)は今でも主人の書庫に大切に保管されています。

二十歳の青年将校(海軍中尉)の時に終戦を迎えましたが、入隊後わずか数年で戦局も末期となり、兵書の教えの実戦もままならずその本質を十分に理解できぬままであったことを大変無念に思い、戦後も孫子の研究を続けてその教えを実戦に応用すべく地元企業の相談役として経営戦略研究所を設立。昭和36年〜昭和43年の間、本業である化粧品メーカーの社長業の傍ら次々と成功の糸口を築いていきました。

しかしいつの頃か孫子は勝つことを教えたのではなく、その理は不敗の極致であり、即ち「戦争はするな」と教えたものだと悟り、その後 孫子の研究に終止符を打ち、「人知以前の世界」への研究と進んだのです。そしてその中で悟ったのが、漢萌の“いのち”の美容の根本とも言える「自然(じねん)にまかせれば自然(じねん)が教える」という哲理だったのです。

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2015年06月16日

アイシス様とのめぐりあい


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漢萌が「オーガニックコスメ」をキーワードに新たな展開を模索し始めた2004年は、バブル崩壊後の「失われた10年」を越えてようやくゆるやかな回復期を迎えた我が国にスローフードやスローライフ、ロハスなどの言葉が流行り始めた年でした。

この年、社員の一人が日本のオーガニックコスメ普及活動の先駆的存在であった環境NGOアイシス監修の単行本をバイブルのごとく大切にし、その本に漢萌が収録されることを目標にすべきであると力説してサンプルやカタログを送付してみることになりました。が、しかし先方からの反応は全くなく試みは一時中断。しかしそれから約一年半後、今度はわたくしが直接ご連絡してみると、たまたまお電話にでられた同誌編集長で作家の水上洋子先生からサンプル一式を未だ手にしていないことが判明。今度は先生宛てに直接お送りすることになり話はトントン拍子に進んだのでした。

2005年11月には水上先生自らが広島工場に視察に来られ社長の古法美容についての熱い思いや、これまで守り続けてきた日本独自の自然美容料の伝統製法など長時間にわたってお話しいたしました。その甲斐あってか翌年の2006年5月にアイシスラテール春号に3ページにわたり日本独自の古式美容法を守り続けるメーカーとして初出掲載。次いで同年12月に発刊された単行本 ─ 美肌力、癒し力の高い安心コスメ「オーガニックコスメ」には日本伝統の自然美容料メーカーとして8ページにわたって13商品が紹介され遂に念願の“バイブル”収録を果したのでした。

その後2009年4月には ─ 7万人の実感!素肌を大切にしたいあなたに「オーガニックコスメ厳選303」、そして2013年4月には ─ 植物の力で美肌力が蘇る「オーガニックコスメ」にアイシス様推奨のメーカーとして収録を重ねてゆきました。

先日当社の書庫を整理していたところ初収録された2006年12月発刊の単行本と2009年4月発刊の単行本が少しばかりございましたので皆様にお分けいたしたいと思っています。ご希望の方先着20名様ではございますが、以下ご希望の書籍名をメールにコピーし送付先を明記してご応募いただきますようお願いいたします。

@美肌力、癒し力の高い安心コスメ オーガニックコスメ(アイシスガイアネット監修)先着10名様
A7万人の実感!素肌を大切にしたいあなたに オーガニックコスメ厳選303(日本オーガニックコスメ協会監修)先着10名様


応募メールアドレス info@kanpoo.co.jp

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2013年12月27日

社長とのご縁B

臨済宗の禅寺仏通寺(日本屈指の禅道場)で初めての体験であった夏の接心は、坐禅の中払うことのできない蚊に気をとられ修行とは程遠いものでしたが、その後様々な事態に遭遇する度にこの時の事が脳裏に残っておりいつも一呼吸して対処する事を学んだ様に思います。

庭木

そして季節は秋。庭には桔梗、秋明菊、萩と秋を告げる草花を見ながら母がよく玉露を入れてくれました。一煎、二煎、三煎それぞれの美味しい入れ方や、その香りや味わいの違いなど日本茶の奥深い魅力について教えてもらいました。四煎目は煎じてお茶漬けに最高であり、その出がらしは干してやがて主人の枕になりました。煎茶道具の可愛さや母と主人の多岐にわたる語らいも含め教わる事は多く心和やかな朝の一時でした。

立冬に入ると炉の畳に入れ替え障子貼りと冬支度に短日に忙しくほっとする間もなく初めて迎えるお正月の準備。お道具も母から習いながらしつらえていきました。加えてお正月用の着物一式を整え主人は紋付きの羽織り・袴、母も私も晴れ着で迎えました。

元旦はまず庭に出て日の本を拝し、神様(棚)に一年の無事を祈願するとともにご先祖様(仏壇)に新年のご挨拶をしてお膳に着きお屠蘇で新春を寿ぐという清々しい初春(はつはる)でした。

初釜
母と親戚の方とお正月に

二日目からはお客様で賑わいました。ごく普通の家庭でのお正月の迎え方でしたが、歳事をことの他大切に思っていた母から伝え受けた諸事を娘が嫁ぐまで続けました。今は主人と二人それなりのしつらえを楽しみ静かなお正月を過ごしています。

折々の歳事に触れて感じる家庭の温もりや祖先を敬う祈りの心のように、私たちの暮らしとともにある美しい内なるものは連綿と受け継がれてゆくべき大切な文化だと思います。まだまだこれから来年も学ぶ、教わる、習う事も多く、常に感動、感謝、感激する日々であるよう願っています。今年一年ありがとうございました。


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