新商品の企画は一気に始動しはじめました。まず四つの製品に絞り、古いノートを調べて造ってきた経緯や製造工程を整理、また製造部門では蔵から持ち帰ったものを1ケースごとあるいは1本ごとに香り・色などの性状をチェックしながら仕分けの作業にかかり工場内はにわかに忙しく活気に満ちてきました。私はきっと良い製品になるであろうとうれしく胸が高鳴る思いでした。
一方、商品化に向けてネーミングやパッケージ・パンフレットの制作などにも着手しましたが、シリーズの表現計画に一苦労。まず昭和を念頭に置いたネーミングに何候補か上がりましたが、美しい日本語の響きが残したくて一字三音の「清(さやか)」「和(なごみ)」「麗(うらら)」「遥(はるか)」を織り込んだ名称に決まりとても気に入っています。続いてのパッケージデザインでは、創業当時工場周辺に広がっていたレンゲ畑に思い入れがあり、それをモチーフにしたものを色々考案してみましたがいま一つで、行き着くところシンプルが一番との判断から、それぞれのイメージカラーに50周年記念の目出度い金文字をあしらったデザインに仕上がりました。
またパンフレットは、どこか懐かしい昭和のイメージを盛り込みたいとの思いから昭和のアルバムの1ページと考え想いを巡らせました。その結果、一つが表紙をアルバム調にしたもの、そしてもう一つが私の古い写真を一枚選び載せることにしました。
その写真は私が30代の頃のもので、当時、合コンならぬ合ハイ(合同ハイキング)の流行から広島郊外に仲間と飯ごう炊さんに出かけたときのワンショット。ネッカチーフをつけ、当時流行っていたコンビの靴も懐かしい思い出です。ネッカチーフはその後子供のお気に入りファッションとなり、自慢のマイカーでお洒落ドライバーを決め込む際の必需アイテムとなりました。
喧々諤々の議論もありましたが、懐かしい思い出を振り返りながら進めた「昭和シリーズ」の道程はとても楽しく充実した時間でした。結果よければ全てよしと、皆様に喜んでいただける商品になればと念じているところです。