2014年01月31日

寒の内

寒椿

毎年小寒から立春までの「寒の内」は一年の中で寒さが最も厳しい時期です。我が国ではこの厳寒を衣食住の中に活用した先人たちの知恵が豊富に受け継がれています。例えば寒仕込みと言う言葉もあるように、醤油や味噌、日本酒などの伝統の発酵食品の仕込みもこの時期が最盛期。また寒気にさらして作る凍み豆腐や寒天、寒干し大根、魚の寒干し等々枚挙に暇がありませんが、漢萌においても毎年歳初めは寒の水で美容水いぶきを搾ることから作業を始めます。

美容水いぶきは社長の三戸唯裕が長年かけて万人に“効く”ことをコンセプトに商品化した製品。これもまた寒い時期に一日何度も煎液を搾る職人たちの肌が釜から立ち上る生薬の湯気に触れて活き活きと輝いているのにふと気づいたのがきっかけでした。発売当初は一滴一滴大地の恵みが息吹くように搾られることから大地の化粧水いぶきと命名されました。

またこの時期いぶきの搾り出しとあわせて多忙を極めるのが蔵出しした化粧水の自然濾過。自然濾過は漢萌でその研究に最も時間を費やした秘伝の方法で、20年近くにわたり熟成を重ねて膨らんだ自然のいのちを損なうことなくキラキラと輝きのあるクリアな化粧水へと仕上げる寒仕上げの技です。この技術は現代科学に則ったスキンケア化粧品の製造概念では全く考えも及ばないような独自のノウハウですが、漢萌の自然美容料造りには欠くことのできない唯一無二の方法なのです。

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自然に従い、自然から学び培った知恵を生かし、手間暇かけてじっくりと育て上げてゆくいのちの美容料造りを後世へと伝えてゆくことこそ我が社の大切な使命であると心新たにする寒の内のひと時です。



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2014年01月10日

年の始めに

掛け軸
正月も日は東より出て鳥はかあーと鳴く

厳寒に年始を迎え自然の寒さの中で身を引き締めて自省の心を持つ―。

古くから日本人にとってお正月とは自分自身を見つめ直すチャンスでもあります。

今年は午年。女学校卒業時先生方に書いて頂いたサイン帳の中で公民の男の先生からのメッセージは「突っ走った馬も時に落馬し 〜 後ろを振り返る。そして立ち止まるゆとりを持つように」と書き残して下さいました。これはこれまで事ある毎に幾度も思い返してきた深く心に残る言葉です。それにしても昔の先生は生徒一人ひとりを実によく見ておられたものだと活発だった当時の自分に苦笑しながら午年にあらためて有難く思う次第です。

私が小学生の頃は御題が出され、正月二日に書初めをすることが行事となっていました。五年生の頃の担任の先生は昨年の大河ドラマ「八重の桜」の主人公「八重」にも似た“銃後の守り”を担う女性のようなイメージで、その先生にお習字を習ったことが今も鮮やかに思い出されます。なぎなたがお得意で、袴に鉢巻たすき姿の凛々しい出で立ちが大変印象的な方でした。

当時の授業には凛とした礼儀作法と先生を敬う心がありました。まず始業時に机にお道具一式を用意し、新聞紙と半紙二枚を準備し瞑目して先生の来られるのを待ちます。先生が入られ礼をし、明治天皇御製の「鏡には うつらぬ人の まごころも さやかに見ゆる 水茎のあと」を詠い終わると静かに墨を磨ります。次に「練習しなさい」との声がかかると新聞紙を下敷きに半紙一枚で練習。最後に清書となり下敷きを替えて後の一枚に集中して筆を運びます。清書後は練習の半紙で筆の墨をなぞり、皆が書き終わると硯を新聞紙で巻いて持ち帰る。作法も含めて実に整然とした授業でした。

最近は音楽にあわせながら集団で書初めを行ったり、大筆でパフォーマンスを行ったりする様子をよく見かけます。正統と流行という二元論で見るべきではないのでしょうが、良し悪しは別として日本人独自の濃やかな精神性や感受性をこれからも残して行って欲しいものです。
馬土鈴
追記 私の部屋にはきまりごとなしで月ごとに飾りつけを楽しんでいます。一月は今年の干支にちなみ馬の土鈴を飾ってみました。

posted by ハルカ at 15:54| Comment(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする