2013年12月27日

社長とのご縁B

臨済宗の禅寺仏通寺(日本屈指の禅道場)で初めての体験であった夏の接心は、坐禅の中払うことのできない蚊に気をとられ修行とは程遠いものでしたが、その後様々な事態に遭遇する度にこの時の事が脳裏に残っておりいつも一呼吸して対処する事を学んだ様に思います。

庭木

そして季節は秋。庭には桔梗、秋明菊、萩と秋を告げる草花を見ながら母がよく玉露を入れてくれました。一煎、二煎、三煎それぞれの美味しい入れ方や、その香りや味わいの違いなど日本茶の奥深い魅力について教えてもらいました。四煎目は煎じてお茶漬けに最高であり、その出がらしは干してやがて主人の枕になりました。煎茶道具の可愛さや母と主人の多岐にわたる語らいも含め教わる事は多く心和やかな朝の一時でした。

立冬に入ると炉の畳に入れ替え障子貼りと冬支度に短日に忙しくほっとする間もなく初めて迎えるお正月の準備。お道具も母から習いながらしつらえていきました。加えてお正月用の着物一式を整え主人は紋付きの羽織り・袴、母も私も晴れ着で迎えました。

元旦はまず庭に出て日の本を拝し、神様(棚)に一年の無事を祈願するとともにご先祖様(仏壇)に新年のご挨拶をしてお膳に着きお屠蘇で新春を寿ぐという清々しい初春(はつはる)でした。

初釜
母と親戚の方とお正月に

二日目からはお客様で賑わいました。ごく普通の家庭でのお正月の迎え方でしたが、歳事をことの他大切に思っていた母から伝え受けた諸事を娘が嫁ぐまで続けました。今は主人と二人それなりのしつらえを楽しみ静かなお正月を過ごしています。

折々の歳事に触れて感じる家庭の温もりや祖先を敬う祈りの心のように、私たちの暮らしとともにある美しい内なるものは連綿と受け継がれてゆくべき大切な文化だと思います。まだまだこれから来年も学ぶ、教わる、習う事も多く、常に感動、感謝、感激する日々であるよう願っています。今年一年ありがとうございました。


posted by ハルカ at 17:15| Comment(0) | ご縁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月20日

愛犬と過ごした日々

チコちゃん
愛犬チコ

家族の一員として毎日幸せに暮らしているペットたち。かたや環境省の発表によればここ広島県は犬猫の殺処分が全国ワーストワンと報じられていた。

捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったもので、毎年この時期になると知人宅に迷い込んだ一匹の犬のことを思い出す。それはある年の寒いクリスマスイブの日に勝手口を開けると一匹の弱ったダルメシアン(ディズニー映画101匹わんちゃんで有名)がうずくまっていた。声をかけるとその犬は人懐こそうな目で見つめ何かを訴えているようだった。

寒空の下を幾日も迷い歩き腹をぺこぺこにしているのではないかと心配し食べ物を与え、奇しくもやってきた日がクリスマスイブだったことから「神様から届いた可愛い贈り物に感謝します」との気持ちを込めてメリーと命名し、家族の一員として優しく迎い入れたという。心温まる犬物語に感動しいつもクリスマスが近づくとあの幸せなメリーは今も元気かと想う。

我が家で飼ったペットは、夫が散歩中後ろから人懐っこくついてくる野良犬を「犬は安産だから」と身重の私を気遣い連れ帰ったのが最初だが、その犬は既に盛年期を過ぎていたため飼い始めて六年余りで今生の別れとなった。

二匹目は保健所から殺処分寸前のところを貰い受けた。収容された多くの犬たちは自らの運命を知ってか飼い主になってくれるだろう人間に懸命の叫び声を上げるのだが、その中から一際一生懸命に私をじっと見つめ哀願してくる仔犬を心苦しくも選び連れ帰った。そしてその仔犬を「チコ」と名付けた。やがてチコは成犬となり四匹の仔犬を出産しその成長の過程は家族中を心豊かに和ませてくれた。

仔犬貼紙
25年前の仔犬たち

四匹の仔犬は近くのスーパーに里親募集の張り紙をさせてもらいそれぞれ犬好きの飼い主の元に引き取られて行った。そしてチコは12年と半年を我が家の一員として暮らし、最後は家族全員に見守られながら静かに息を引き取った。

チコと過ごした12年余りの歳月は会社の仕事も家庭もすべてが全盛期であった。今思えば忙しい中、仕事を終えてからのチコとの一時間の散歩はまるで親子の時間を過ごすかのように大変満ち足りたものだった。親と子の愛がそうであるように、ペットを育てることもまた無償の愛に違いない。

いま我が家の玄関には高山寺の「上人遺愛の犬」のレプリカを置いており、主人はそれをワン太郎と呼び朝な夕な頭を撫でている。また居間のテレビの横にはぬいぐるみのチコが今も私たちと一緒にいる。そして奥の部屋の廊下には銅製のドーベルマン君が番犬として鎮座し私たち老夫婦を見守ってくれている。
posted by ハルカ at 15:35| Comment(1) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする